日本陸水学会第83回岡山大会The Japan Society of LIMNOLOGY

岡山大学津島キャンパス

10月5日(金)~10月8日(月)

課題講演

課題講演の実施要領

1)課題講演は一般講演と並行して行われます。

2)課題講演の企画希望者(コンビーナー)は、課題講演の題目、氏名、所属、連絡先(TEL、Eメールアドレス)を、5月14日(月)~ 6月6日(水)の期間中に、JSLIM83実行委員会()にEメールでご連絡下さい。Eメールタイトルには「課題講演申込」と記載願います。

3)課題講演の応募が多数の場合は、大会企画委員会とJSLIM83実行委員会とで検討し、採択を決定することがありますので、あらかじめご了承下さい。

4)課題講演の題目は、決定次第、大会HPに掲載し、講演者非公募の場合を除いて課題講演の講演者(発表者)を募集します。

5)課題講演での講演を希望される方は、6月15日(金)~ 7月6日(金)の期間中に、直接コンビーナーに連絡を取ってお申し込み下さい。

6)コンビーナーより課題講演に採択された講演者は、ご自身で大会参加申込みを行って下さい。

7)課題講演に採択された講演者は、講演申込用紙を大会HPよりダウンロードし、必要事項を記入の上、コンビーナーにEメール添付にて送付して下さい。

8) コンビーナーは、課題講演の講演者より送付された講演申込用紙を発表順にとりまとめ、7月23日(月)までに大会企画受付()にEメール添付にて送付して下さい。

講演申込用紙のダウンロード

課題講演一覧

  • (T-1)「次世代型生態系観測技術の湖沼生態系への適用―霞ヶ浦を例に」
  • コンビーナー:高村典子・松崎慎一郎(国立環境研究所)
    連絡先:(E-mail) , (TEL) 077-526-8564

  • (T-2)「陸水を介した森・川・海のつながり(2)-流域における陸水と生態系サービス-」
  • コンビーナー:大西健夫(岐阜大学)・吉岡崇仁(京都大学)・杉本亮(福井県立大学)
    連絡先:(E-mail) (大西), (TEL) 058-293-2879

    趣旨:陸域における様々な人間活動は陸水を介した物質輸送を通して上流域から下流域に伝播するため、流域的視点が必要不可欠である。陸域および海洋の一体的な水系管理の重要性は従来から認識はされていたものの概念論にとどまっている。実践の場でも利用可能な実体化のためには、流域の変化とその影響を包括的に評価する必要がある。しかし、従来の研究は個別プロセスの研究が主体であったため、流域全体をシステムとして捉える方法論、視点、課題自体が明確にされていない。そこで本課題講演では、上流域から森林、農地、都市、湖沼、湿地、沿岸域と多様な土地利用・土地被覆を経由しながら、河川や湖沼を経て、海洋へ到達する陸水のプロセスを包括的に取り扱うための手法、概念、課題を明らかにすることを意図して数年にわたるシリーズとして企画するものである。今年度は、特に、「流域における陸水と生態系サービス」を議論の中心として、流域的視点に重心を置きながら生態系どうしの連環を議論したい。なお森林生態系、農地生態系、湖沼生態系、沿岸生態系等、流域から沿岸域にまでわたるあらゆる生態系を対象とする。また、本課題講演は、自由集会と連動して実施し、自由集会では人文科学的視点との交差にも重心を置いて議論を行いたい。

    キーワード:人間活動、生態系サービス、森林管理、農地管理、河岸域、沿岸域、土砂輸送、物質輸送、酸化還元、河川構造物、富栄養化、赤潮、貧酸素水塊

  • (T-3)「生態系の実験場 〜南極湖沼とその集水域での生物と物質循環〜」
  • コンビーナー:工藤栄・田邊優貴子(国立極地研究所)
    連絡先:(E-mail) , , (TEL)042-512-0739

  • (T-4)「琵琶湖流域の栄養循環:統合的理解を目指して」(略称:流域の栄養循環)
  • コンビーナー:奥田昇(総合地球環境学研究所)・小野寺真一(広島大学)・伴修平(滋賀県立大学)
    連絡先:(E-mail) , (TEL)075-707-2286

    趣旨:陸水学の発展に伴って、リンや窒素などの栄養塩の挙動をダイナミックに捉える技術が目覚ましく進歩した。また、20世紀に始まった栄養塩の観測活動の蓄積は、人間活動による陸水環境の長期的な攪乱過程を浮き彫りにした。世界中の陸水が抱える栄養循環の攪乱に起因した環境問題を解決するには、人間活動の場である集水域を含めて、流域スケールで栄養循環の時空間動態を統合的に理解する必要がある。
     そこで、栄養循環に関連した物理・化学・生物プロセスを分野横断的に理解する場として琵琶湖流域を対象とした課題講演を企画する。森林・農地・宅地など陸域からの栄養塩排出過程、大気からの栄養塩の降下過程、河川における栄養塩の取込みや輸送過程、地下水を介した湖盆への栄養塩の流入過程、湖盆における栄養塩の三次元動態ならびに長期変動過程、栄養塩が生物群集に及ぼす影響ならびに生物群集自身が有する栄養塩代謝機能など、異なる分野の研究者の知見を共有することによって、流域の栄養循環に対する理解を深めたい。

  • (T-5)「先端技術でひも解く湖の物理・化学・生物プロセス」
  • コンビーナー:岡崎友輔(産業技術総合研究所生物プロセス研究部門)・山口保彦 (滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)・大八木英夫 (日本大学文理学部)
    連絡先:(E-mail) (岡崎)

    趣旨:湖は物理・化学・生物の陸水学各分野から多様なアプローチによって研究されている。しかしながら、技術や興味を共有する分野内での研究者同士のつながりに比べると、調査地を共有する分野間のつながりは乏しく、同じ湖を研究していながら、他分野の研究者の仕事を知るチャンスは多くないのが現状である。このような問題意識のもと、「同じ湖を様々な視点から見る者同士が集えば、その共通点や違いから得られる気づきや面白さ、共有したり交換したりできる知見があるのではないか?」という動機により、本課題講演の提案に至った。
     講演は湖を対象としたあらゆる研究から募集し、特に各分野の先端技術のトレンドに触れていただける発表を広く歓迎する。ここでいう「先端技術」には、ドローンや次世代シーケンサー、新型化学分析装置といった新たなハードの実用のみならず、既存の機器や計算機、分析前処理法、データ解析法等の高精度・高性能化・高効率化や、新たな研究モデルやコンセプトを含めて、これまでの不可能を可能にすることで研究を新たな局面に導く、あらゆる技術や手法を想定している。各分野の最先端の現状を「今どこまで分かるようになったか(どこはまだ分かってないのか)」「次のブレークスルーはどこにありそうか」といった観点から相互に理解することで、本課題講演を有用な気づきと情報交換の場として活用していただくことを目指したい。

  • (T-6)「閉塞塩湖の陸水科学過程」
  • コンビーナー:杉山雅人(京都大学人間・環境学研究科)・程木義邦(京都大学生態学研究センター)
    連絡先:(E-mail) (程木), (TEL)077-549-8258

    趣旨:塩湖は水中の総塩分が0.5 g/L以上の湖であって、地殻運動により生じた構造湖、岩塩地帯での溶食湖など成因はさまざまである。
     塩湖は湖水中のCa2+濃度とアルカリ度の大小関係によって、a) 2 [Ca2+] < [HCO3-] + 2 [CO32-]の湖とb) 2 [Ca2+] > [HCO3-] + 2 [CO32-]の湖に大別される。aの湖では、塩分上昇によりCaCO3が沈殿してHCO3-とCO32-が湖水中に残って濃縮され、アルカリ度と塩基性の増加が起こる。この典型がトルコのワン湖である。bの湖ではCaCO3沈殿の生成に伴ってCa2+が湖水中に残存・濃縮されて、アルカリ度は低くpHは中性付近となる。死海はこの形式の湖である。キルギスのイシククル湖は、これらの中間の水質にある。
     近年の地球温暖化に伴う乾燥気候の強まり、灌漑や飲料のための過度な取水による流入水の減少などによって、今後、世界各地で塩湖の濃度上昇や淡水湖からの変質が起こると懸念されている。ひいては、湖の消失も危惧されている。かつては湖として世界第4位の広さを誇ったアラル海ではこのことが既に現実となった。中国やモンゴルでも多くの湖が消失した。
     このため、塩湖に特徴的な陸水科学的過程の解明は、将来生じる中長期的気候変動や経済活動の増大などの影響下のもと、これら湖沼の保全を行う上で極めて重要となる。本課題講演では、物理・化学・生物学などさまざまな側面から行われた塩湖研究の成果を取りあげるとともに、今後の研究の展望と課題について議論する。

    キーワード:塩湖、地球温暖化、水収支、蒸発、塩分濃縮、湖消失、アルカリ度、pH、炭酸カルシウム、ブルーム、温泉、湧水

  • (T-7)「気候変動が陸水域・湿原生態系に及ぼす影響」
  • コンビーナー:野原精一(国立環境研究所)・廣田充(筑波大学)
    連絡先:(E-mail) (野原), (TEL) 029-850-2501

    趣旨:昔、冬はもっと寒かったと感じている年長者でも1980年代には気候変動について、地質学者以外身近な環境問題として捉えていなかった。しかし、近年多発する大型台風、大洪水等は陸水・沿岸域の研究者も攪乱要因として考慮しないではいられない時代となった。
     尾瀬ヶ原では2011年7月に、新潟・福島豪雨によって短時間強雨に伴う大規模な洪水が記憶に新しいが、1969年8月には長雨の影響で、1996年6月には融雪時の大雨で洪水が発生している。尾瀬ヶ原は、洪水に見舞われながら湿原が発達してきたものと推測される。そこで、各地おける「気候変動が陸水環境・湿原生態系に及ぼす影響」で得られた結果について総合的に考察し、今後地元が環境適応して行く方法について議論する。

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